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「銀鈴」は新潟交通万代シテイバスターミナル直結のシティホテル「万代シルバーホテル」2階にある
新発田市出身の和食料理長、刑部(ぎょうぶ)宏明さんに「銀鈴」で提供している「のっぺ」についてお聞きしました。
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万代シルバーホテルの直営和食店「銀鈴」はもともと「郷土料理の店」という店名でした。刑部さんは入社20年になりますが、入社したときにはすでに「のっぺ」はメニューにあったとのこと。
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銀鈴の「のっぺ」は「とと豆」を添える、新潟地域らしいもの。宿泊客からも要望があることから、通年メニューとして提供しています。
●材料
里いも(帛乙女)、ニンジン、ナメコ、タケノコ、ゴボウ、銀杏、こんにゃく、かまぼこ、とと豆、柚子、きぬさや
●だし
干し貝柱と干し椎茸の戻し汁、カツオの二番だし、昆布
●調味料
酒、薄口醤油、濃口醤油(最後に香り付けに)、塩、みりん(少々)
●切り方
野菜はゴボウ(乱切り)以外は全て拍子切り
●作り方
酒、干し椎茸の戻し汁、カツオの二番だしを鍋に入れる。前日に干し貝柱を水で戻し、1回茹でこぼして細かくほぐしておく。それと貝柱の戻し汁をだしの中に入れ、昆布を一つ加える。こんにゃくとゴボウはゆでこぼした後、水にさらしておく。里芋、ニンジン、ナメコなどはだしの中に入れて直炊きし、アクを取り除いていく。里芋に火が通ったら調味料を加え、最後にかまぼこを入れる。塩漬けしておいた、イクラに火を入れた「とと豆」を塩抜きして添え、最後にきぬさやと柚子を飾る。
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●提供の仕方
冷蔵庫で保存し、冷たい状態で提供。温かい方がいいというお客さまには、その都度温めて出す。器は陶器。
「全国には『のっぺ』に似た料理はたくさんあるのですが、新潟のものはほかとはちょっと違います。特に、とと豆を添えるなんて、新潟しかないと思います」と刑部さん。
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「とと豆」はイクラを通年楽しむための知恵から生まれた保存食。新潟市の料亭や料理店では、さっとゆがいた後、しっかり塩漬けしたものをさまざまな料理の飾りとして使っていたといいます。「銀鈴」では現在でもその伝統を受け継ぎ、イクラではなく「とと豆」を「のっぺ」に添えています。
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刑部さんによると10年ほど前、新潟県調理師会で『新潟県ののっぺ』ということで、各料理店が自店の『のっぺ』を持ち寄ったことがあったという。「それぞれが違っていて驚きました」と刑部さん。「上越地域だと片栗粉でとろみをつけていたり、上越の山間地ではウサギの肉が入っていたりして、面白いと思いましたね」
刑部さん自身は新発田市出身ということで、「うちの方では『のっぺ』とは呼ばず、『こにも』と呼んでいましたね」と話してくれました。多彩で奥深い新潟の「のっぺ」。県内各地の「のっぺ」を食べ比べる旅も面白そうですね。
取材・文・撮影:岩村文雄 2024年12月