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「のっぺ」ヒストリー

全国の「のっぺ」

「のっぺ」が日本各地で作られ続けているのは、大きく2つの理由が考えられます。

一つ目は、主な材料の根菜類が身近にあり廉価で入手しやすく、一時に大量に作り置きできるから。

二つ目は、人の集まり時のもてなし料理として作り置きし、保存が利くため。加えて、煮崩れしにくい材料なので、煮返しても見た目が悪くならないということもあるようです。

農林水産省のポータルサイト、「うちの郷土料理 次世代に伝えたい大切な味」では、「のっぺ」の項目に奈良県の「奈良のっぺ」、新潟県の「のっぺ」、三重県の「のっぺい」、山口県の「のっぺい」、佐賀県の「のっぺ汁」、長崎県の「ぬっぺ」、岩手県の「ぬっぺい汁」などが掲載されています。(以下、農水省HPから抜粋)

 

奈良県の「奈良のっぺ」

12月17日に奈良春日大社で開催される「おん祭」のお渡り式に先立ち、15日におん祭を執り行う大和士(やまとざむらい)たちが身を清める「大宿所祭」で大和士や参拝者に振舞われる。家庭でも食べられている。材料はサトイモ、厚揚げ、ダイコン、ニンジン、干しシイタケ、コンニャク。

奈良のっぺ

奈良のっぺの看板 (写真提供・上2点 北越出版) 

三重県の「のっぺ」

奈良県に隣接する伊賀地域で特に盛んに作られている。冬の家庭の一般的な料理であり、学校給食にものっぺい汁として提供される。地域の祭りや家庭の祝い事、法事、葬式には欠かせない。1649年に松尾芭蕉が門人たちを招いて開催した、「月見の会」の献立の中に「麩ののっぺい」の記載もある。

佐賀県の「のっぺ汁」

佐賀県の「のっぺ汁」(写真提供 農水省ウェブサイト「うちの郷土料理」)

冬の寒い時季に体を温める汁物として日常食になっている。冠婚葬祭にも登場し、仏事の際にはシイタケ、ゴボウを入れ、祝い事には鶏肉、結婚式にはアズキを入れて作る。

長崎県の「ぬっぺ」

長崎県の「ぬっぺ」(写真提供 農水省ウェブサイト「うちの郷土料理」)

諫早(いさはや)地区の郷土料理。サトイモを主にした根菜類を小さく切って煮る。汁にトロミがある。

島根県津和野ののっぺい汁

 「うちの郷土料理」に掲載はないが、「のっぺいは全国各地にあるが、島根県津和野地方がもっとも有名」(『たべもの語源辞典』)とされている。毎年、節分に豆まきの後、夕食に食べる。昔は山鳥を主材にした鳥のっぺいや猪の肉を使ったししのっぺい汁が作られた。昔ながらの本膳料理の名残があり、食べ方にもしきたりがある。サトイモ、シイタケ、ニンジン、ゴボウ、レンコン、ダイコン、タケノコ、山菜などを具に、海のものは使わずに作る。白く透き通りとろりとしている。(『日本料理由来事典』)

取材・文 野崎史子 2024年12月

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