上越市の直売所「あるるん畑」で、のっぺの材料についてJAえちご上越営農部の西條幸太郎さんにお聞きしました。

「上越地域の土壌は粘土質で、里芋栽培には向いているのかなと思います。平場より山間地の方が出荷は多いですね」と西條さん。あるるん畑に出荷している生産者は近郊(上越市・妙高市)の農家で、妙高市の生産者が多いとのこと。「里芋は寒いと腐ってしまうため保存が難しい。なので、出荷される農家さんは保存管理をしっかりやっています。特に、種芋は温度管理できる貯蔵庫で、10℃以下にならないように貯蔵しています」。親芋、子芋、孫芋とある中で、のっぺにはやわらかい孫芋を使う人が多いそうです。
上越地域で栽培されている里芋の品種は主に「土垂」と「石川早生」。販売時期は10月〜3月。里芋が出回る時期になると上越の家庭ではのっぺを作ることが多くなるそうです。
あるるん畑では「のっぺコーナー」を設けることはありませんが、毎年冬になると里芋がよく売れるため、売場を広げて対応しているそうです。

「里芋は年末が一番売れます」と西條さん。「正月用にはもちろん作りますが、冬のおかずとして作る人も多いと思います」。ちなみに上越地域での呼び名は「のっぺ」「のっぺ汁」「のっぺい汁」など。
あるるん畑の里芋売り場で出会った女性に話を聞きました。「私は新潟市江南区から上越市に嫁いできたんですが、義母から教わったのっぺはとろみがつくので驚きました。新潟市の方はさらっとしていますから。同じ新潟県でも違うものですね」

のっぺの材料として上越でもおなじみの銀杏コーナーもご覧の通りの充実ぶり。
上越地域の「のっぺ」の特徴として、西條さんは「地域差があり家庭によっても異なりますが、片栗粉などで『とろみ』をつけるのが特徴」と話します。さらに「ちくわ(スギヨの「ビタミンちくわ」)が入ります。この時期スーパーではものすごい量が売れます」。ビタミンちくわはあるるん畑では販売していませんが、上越市内のスーパーではなじみ深い上越市民のソウルフード。(ビタミンちくわについては、別のコラムで紹介予定)
最後に西條家の「のっぺ」を紹介します。
●材料/里芋、ニンジン、レンコン、干しシイタケ、鶏肉、ちくわ、なると、銀杏
●ダシ/かつおぶし、干し椎茸
●汁の色/薄め
●特徴/片栗粉でとろみをつけること
●提供の仕方/温かくして食べたり、来客があったときは冷たいまま提供することもある
取材・文・撮影:岩村文雄 2024年12月