解説
すべてのものに神宿る-自然との共生に貫かれた北の民族の清廉な食文化。道内各地の古老を語り部に、今、ここに再現。山野草、魚介、鳥獣-自然の恵みを生かしきるアイヌ民族の食の英知をまとめた初めての本。
目次
◎静内地方の食-織田ステノさんの暮らしと食べもの
-木の実一つ、草の葉一枚にいたるまで神々に感謝してつくる伝統の味
Ⅰ 四季の暮らしと食べもの
1 自然とともにある暮らし
2 春から夏-自然の恵みに感謝して 青ものとりに精を出す
3 秋から冬-雪明かりのなかで 軒に干した鮭が輝く
4 暮らしのなかの貴重品-米とたばこ
Ⅱ 料理づくり-調理と加工
Ⅲ 食素材とその利用
1 魚-すべての部位を使いこなす
2 栽培作物-大切な雑穀・豆・いも
3 山菜・野草-まわりの山野は食料の宝庫
4 薬にするもの-身近なもので治す
Ⅳ 調味料と脂の利用
(1)味噌
(2)脂
◎浦河地方の食-浦川タレさんの暮らしと食べもの
-鮭・ますを恵む川面に焼干しづくりの香ばしい煙が流れる
Ⅰ 浦河地方における日常の暮らし
1 生い立ち-母の死から結婚まで
2 畑での雑穀づくりと現金収入
3 暮らしを助ける大切な馬や犬
4 子どものころの日常の食風景
Ⅱ 料理づくり-だし、味つけ、風味づけ
1 だし
2 調味料
3 薬味
Ⅲ 食事の中心となるもの-お汁、おかゆ、ごはん
1 お汁
2 おかゆ、ごはん
Ⅳ 魚貝類、鳥獣類の料理-刺身とたたき
1 魚貝類の食べ方
2 陸海獣の食べ方
3 鳥類の食べ方
Ⅴ 山野草、木の実の料理-季節のあえもの
1 生のあえもの
2 あっさりふうのあえもの
3 練りあげふうのあえもの
Ⅵ 暮らしのなかのだんご-保存食と晴れ食
1 保存食としてのだんご
2 弁当としてのだんご
3 通過儀礼のだんご
4 神まつりのだんご
◎アイヌのいろいろな料理と加工-まつりを中心に
*樺太地方・金谷フサさんの暮らしと食べもの
1 樺太西海岸の暮らしとまつり
2 いろいろな保存食の用意
3 樺太西海岸の料理
*熊の霊送りと料理-白老の場合
熊の霊送り
熊の霊送りの料理
*アイヌの酒つくり-静内・阿寒
(1)静内の場合
(2)阿寒の場合
◎食素材の確保と加工・貯蔵-植物を中心に
*食素材の採取と栽培
季節が告げる食用植物の採取時期
採取の道具
採取する山野草
採取する木の実
栽培する植物
*澱粉の採取と加工
澱粉原料はおおうばゆり
旭川におけるおおうばゆりの加工
静内におけるおおうばゆりの加工
◎ウエペケレ-アイヌの口承文芸-
食べものについての物語
語り部・織田さんの生い立ち
静内の歴史的状況
アイヌの風習を厳格に守って育つ
ウエペケレⅠ いもの神さまが人間にいもを授けた話
ウエペケレⅡ 豆の神さまが人間に豆を授けた話 |